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FEATURE

積水化成品が得意とする独自のポリマーハイブリッド技術によって1974年に生まれた「ピオセラン」は、ポリスチレンの特性とポリオレフィンの特性、すなわち「剛性、発泡性、断熱性」と「耐衝撃性、耐薬品性、耐摩耗性」を高い次元で併せ持つユニークな発泡樹脂です。

(左)粒子の中心部分。ポリオレフィンとポリスチレンが混ざり合っている。
(右)粒子の表層部分。表層部分はポリオレフィンが集中している。

従来ポリスチレンは「剛性、発泡性、断熱性」に優れる反面、「耐衝撃性、耐薬品性、耐摩耗性」が弱点とされていました。 積水化成品ではこのポリスチレンにポリオレフィンを複合化。両者の特性を併せ持つことによって、新しい用途での利用が可能になりました。

開発以来半世紀、進化し続ける「ピオセラン」の高い利便性と環境適応性が相まって、利用シーンはますます拡がっています。

高い防御力で人や物を守る高い耐衝撃性能

「ピオセラン」は従来の発泡ポリスチレンや発泡ポリプロピレンなどに比べて、高い耐衝撃性能を発揮させることができます。設計時のグレード選定や材料のカスタマイズを行なうことにより、性能と重量、コストを自在にバランス設計することが可能です。

これらの性能は「衝撃を吸収する」用途などに適しており、自動車の各部衝撃吸収材として万が一の事故の際、乗員や歩行者の衝撃を軽減し、安全性を高めることができます。また、精密機器やハイテク製品の梱包緩衝材として、外部からの衝撃や輸送時の振動から製品を守るなどの分野で利用されています。

落球衝撃試験JIS-K7211 に準拠

耐圧性試験JIS-K6767 に準拠

ジャストフィットが作れる精密な設計を可能にする寸法安定性

「ピオセラン」は従来のポリプロピレンやポリスチレンなどに比べ、総合的に優れた機械的特性を備えており、成形時には高い寸法安定性を発揮します。 この特性により精密で複雑な設計やデザインが可能となり、従来発泡樹脂の利用を想定していなかった分野での利用も可能です。

自動車などはその物自体が移動し、振動を内部からも外部からも受けるため、部材同士の隙間や寸法の甘さがあると、いわゆる「ビビリ音・きしみ音」の原因となります。こうした問題も「ピオセラン」の高い寸法安定性と剛性によって解決することが可能です。

機械的特性

寸法安定性

性能は自由自在多彩なグレードと設計ノウハウで
最適製品にカスタマイズ

「ピオセラン」はポリスチレンとポリオレフィンの2つを複合させたユニークな発泡樹脂です。 積水化成品独自のポリマーハイブリッド技術により、各種物性を調整することで「ピオセラン」の基本的な特性以上に、非常に高い衝撃吸収性を付与したり、極めて複雑な形状設計に適した柔軟性を付与するといったカスタムが可能です。

場所によって発泡倍率の異なる車のバンパー芯材(一体成形品)

また、電子部品梱包向けに帯電防止特性を付与したグレードなど、用途要求に合わせた多彩なグレードをご用意しています。
さらに、ご要望に合わせて、長年の設計ノウハウと「ピオセラン」を知り尽くした技術チームが最適なグレード選定やカスタマイズ提案を行ないます。

低コストと低環境負荷高い耐摩耗性がもたらす21世紀対応性能

従来の発泡ポリスチレンは摩耗により、削れや欠け、凹みが生じますが、「ピオセラン」はこの弱点を克服し耐摩耗性に優れています。 加えて寸法安定性も高く、衝撃にも強い事から「リターナブル(再使用)」が可能です。
輸送梱包材などの用途に利用する場合、この高い耐摩耗性能を活かし、従来の発泡樹脂系梱包材では難しかった複数回のリターナブルを行なうことで低コスト化や環境負荷を低減させることが可能です。

また「ピオセラン」を使用した成形品である 「自動車部品輸送用梱包材」「薄型テレビガラス・パネル輸送容器」 を積水化成品グループでは 「サステナブル・スタープロダクト」(環境貢献製品) ※として認定しています。

※ サステナブル・スタープロダクト:

積水化成品グループ(SKG)が掲げる「持続可能社会への貢献」を実現するためのアクションプラン 「SKG-5R」 の一環として策定された認定基準。 環境負荷低減や限りある資源に配慮した製品を「サステナブル・プロダクト」(環境対応製品)に、中でも特に環境への貢献度が高い製品を 「サステナブル・スタープロダクト」(環境貢献製品) に社内認定し、その創出と市場拡大を推進しています。

過酷な場所にも入りこめる高い耐薬品・耐油性能

「ピオセラン」は従来の発泡ポリスチレンなどに比べて、耐薬品・耐油性が高く、様々な薬品や油剤が隣接する自動車部材やコンテナ輸送容器などでも隣接する部材からの影響を受けず、「ピオセラン」本来の性能を安定して発揮することが可能です。
これにより、従来なら「多重構造にして密閉しなければいけなかった」、「空間マージンを広めに取って影響を受けにくくしなければいけなかった」などの、高コスト化、大型化、重量増を避けることが可能になります。

塗布試験

ピオセラン発泡ポリスチレン
メチルエチルケトン××
メチルアルコール
塩酸 (35%)
水酸化ナトリウム (10%)
クエン酸
酢酸エチル×
四塩化炭素×
ガソリン
灯油
機械油○ ~ △
食用油○ ~ △
可塑剤 (DOP)
可塑剤 (DBP)×
○:変化なし
△:表面収縮
×:表面陥没

[測定方法]薬品1.5mlを試験片表面に塗布した後、その様子を目視で判定した
・測定温度:20℃・塗布期間:7日間・試料:OP-15D (15倍)

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